『ノスタルジア』

星空

もう世界から見放された
と想った日もあっただろう

僕の居場所は夜空の足下 影は夜への招待状
踏まれても咲く花 引力へ反抗 瞼の涙

居座っていた憂鬱も見上げてみれば
帰っていったんだと闇に明かりを灯す

瞳が星に照らされたら 瞳もまるで宇宙のよう
そこから落ちる涙は流れ星というところか

何万光年 何億光年を掛けて放った光が
夜空に届いた頃には もう星は亡くなっている

もう世界から見捨てられた
と想った日もあっただろう

君との記憶は遭難事故 約束は消滅時効
行方不明のニュース 君の影像 夜に還る

残痕に卑劣な人間がビルを建てるから
ビルの屋上まで一段飛ばしで駆け上がった

目に映る景色は万華鏡 地球が廻って見せた世界
愚挙された世界も美しく映す魔法の道具だから

何万光年 何億光年先から届いた光が
涙を照らした頃には もう隣に君はいない

地球から放った僕らの光も 星に届く頃には地球は寿命
星は会話が出来ないから 光で僕らの目に語りかけるんだ

君の傷みが僕に届いたよ 失ってから気づくと言うのなら
何万何億光年先から届いた光は つまり宇宙からの遺言

無駄と後悔した鬱積を夜空に撒いた 寂寥の種 養分は涙
真っ暗な君の瞳に僕の存在を提言 咲いた希望 流星群
僕の帰る場所 僕の帰る場所 僕の帰る場所