『やどかり』
聞いてよ聞いてよ ねぇ
声を出せたんだよ
何年か越しの僕の声
許してね いつもさ
身振り手振り空回り
届かない宇宙に手を
何に怯えてたんだろ
たった一回の挫折
そんな記憶力ないのに
引っ込み思案 許して
人の身体借りて宿泊
人の機能最大限に使用
顔色伺いながら生きて
陰口に聞き耳を立てて
君の匂い辿ってみたり
聞いてよ 聞いてよ ねぇ
声変わりはしなかった
心が喉を伝って声に
またいつでも借りにきてね
宿代は僕の話し相手でいいよ
また笑おう 挫折話でもしてさ