『バグ』

無題光を浴びていないであろう
君の純白の肌が物語った
世界への拒絶

情報が拡散した社会に眼を通し
口移しの情報が現実になった

外出するには夜が来るまで
影が夜へと帰っていった
本当の一人を『夜』と呼びたい

路上に張り紙で掲げた大義
今や剥がれかけの紙屑同然

欠如した心 腐敗した信者
崇めた常識 汚染された報道
腐心の末に自分を虐げる

 

純白の腕を隠してる理由
真っ黒の長袖が物語った
世界との戦争

抑止力の為に流したニュースは
生憎の暴挙への号令になった

想い出の亡骸を啄んだ
焼けるような傷みと嗚咽
現実逃避を『孤独』と呼びたい

路上で寝ている人間の大義
最早堕落した世界の縮図同然

詰め替えた心 使い捨ての命
劣等感の塊  虫の集る不浄所
虚像で作った想い出

 

想い出はドブ川に捨てた
『詭弁』と呼ばれるのは
川に浮かぶ波紋のように
後から押し寄せくるもの

世界の端まで届いた時
耳鳴りと共に聴こえた

 

泥だらけの手 異臭のする服
充血した眼  化膿した傷口
純白の君を染めた世界

君のその姿こそが 何よりも『雄弁』