『題名』

題名もなく始まった

もしも題名があったら
自由に生きられただろうか

誰かが付けた希望や想いに
応えて生きられただろうか

息苦しくて　逃げ出したくて
嫌いになっただろうか

何もない　何者でもない
僕は何を書いたらいい

時々僕に題名があったら
なんて想うこともあるよ

行くあてもなく始まった

もしも目的地があったら
他の世界も見れただろうか

誰かが決めた道筋や足跡が
僕の声だと想えただろうか

虚しくて　声が出せなくて
好きになれただろうか

何もない　何者でもない
僕は何を書いたらいい

時々僕に目的地があったら
なんて想うこともあるよ

目隠しをさせられて
暗闇の中を手探りで歩く
未来とはそんなもの

終わりの瞬間に
決めることの出来る題名なら

僕は今もまだ
題名のない小説